大学入試センター試験・国語の題材の書籍・評論編 過去5年分

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1月に行われる大学入試センター試験。現代文・国語の第一問(大問1)には、評論が取り上げられます。
過去5年分、その出典となった書籍を紹介します。
過去問対策を繰り返している受験生も、所収されている原典を見ると少し印象が変わって見えるのではないでしょうか。
問題の攻略のテクニックや参考書よりもまずは原本を当たってみることが王道です。関心のある評論が見つかるかもしれません。




センター試験のためにも、出題者の気分になってどこが切り取られているのかを考えることでも、また長文に慣れる訓練としても、受験対策になるのではないでしょうか。

近年の現代文の出題内は第二問の小説とあわせて、現代の事情を反映した話題の作問が多く見られます。
2016年はどんな評論が出されるのでしょうか。

2015年 「未知との遭遇」 佐々木 敦『未知との遭遇―無限のセカイと有限のワタシ』

冒頭の「教えて君」「教えてあげる君」のくだりが話題を呼びました。「教えてあげる君」の問題点から、論が始まります。インターネットでのコミュニケーションに慣れた受験生に有利か、とも。
近年の動向を取り上げたインターネット論として注目されました。

2014年 「漢文脈と近代日本」 齋藤 希史『漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界』

前年に難問ともいわれた小林秀雄風の独特な文体。受験生にはなじみが弱いが、国語教育の方向性に示唆を与えてくれる良問として国語教員には高い評価を受けた設問でした。
本質的な論理を理解するという評論を読み味わうことの基本についてのメッセージ性のある内容でした。

2013年 「鐔」 小林秀雄『小林秀雄全集〈第12巻〉考へるヒント』

この中から『鐔』(つば)が題材となりました。刀の鐔の歴史、その美しさについての随想。
センター試験の国語の平均点が5割を切ったことが、この評論の難解さにあるともいわれました。異例のイラスト掲載や21個のもの脚注も話題になりました。
小林秀雄の作品は多くの大学入試で使われていましが、そのたびに難解な言い回しが受験生を泣かせてきました。

 

2012年 「境界としての自己」木村敏 『現代詩手帖』40巻5号

所収された号を購入するのは難しいようです。1997年5月号の論文から出題されています。関連として、『生命と現実 木村敏との対話』も参考に。
著者は精神科医、精神病理学の専門家。個体の生存欲求と集団の存続の比較から始まり、自己の境界という概念に論が進みます。

2011年 「身ぶりの消失」 鷲田 清一 『感覚の幽(くら)い風景』

心理や空間など幅広いジャンルに捉えられることから、近年、最も多くの大学入試の現代文に取り上げられている著者です。
木造の民家をそのままに利用したグループホームを評価し、バリアフリーを重視した住宅を批判しています。
文中に、建築家・青木淳の『原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か』が引用されています。

 

次は、小説編もお楽しみに。

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