LGBTに関して教員が持つべき5つの認識

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LGBTというワードを一度は耳にしたことがあることでしょう。日本ではここ最近浸透してきつつある言葉です。約13人に1人の割合でこれに該当するといわれています。つまり、少なくとも教室に1人はいてもおかしくないわけです。しかし、日本の教育界ではこれへの対応が大きく遅れています。教師自体に知識がないため対応できないという理由もあるでしょう。教員として備えるべきLGBTへの認識を紹介します。

LGBTとは何かを正しく把握する

「L」はレズビアン(女性同性愛者)「G」はゲイ(男性同性愛者)「B」はバイセクシャル(両性愛者)「T」はトランスジェンダー(性別越境者)を意味していて、そもそもは性的少数者(性的マイノリティ)の政治的連帯のことを指す言葉です。 日本での取り上げられ方として特徴的なのは、LGBTという言葉自体が性的少数者を指す意味で用いられるのが多いことです。L/G/B/Tそれぞれが別のものであり、それを一括りにまとめるのは望ましい形ではありません。まずはそれぞれが違うのだという認識を持つことが、いらない誤解を避けることにつながります。

誰かを好きになるのは自然なこと

誰かに好意を抱くのは何もおかしなことはありません。友達として好きなのか恋愛対象として好きなのかも人それぞれでしょう。その相手は男性でも女性でも何も変わらないのです。あなたが誰かに恋をする気持ちと同性愛・異性愛は同じ気持ちです。特に思春期の場合は、恋愛で悩む生徒は多いのですが、異性愛でも同性愛でも自然な気持ちなんだと認識して対応しましょう。

(T)トランスジェンダー≠性同一性障害

トランスジェンダーとは男性から女性へまたは女性から男性へと性的役割を移行させる人を指します。つまり、性的少数者に含まれてはいますがほかの「L」「G」「B」とは別の性質です。誤解されやすいのはトランスジェンダーはすべてが性同一性障害ではないことです。性同一性障害は心の性別と身体の性質が一致しない状態のことを指します。その中にはトランスジェンダーとして性別を移行させる人もいます。最近、取り上げられる「男の娘」と呼ばれる存在もトランスジェンダーのひとつであります。この場合は、自身を完全に男であると認識したうえで女性としての役割を楽しんでいます。どの立場に立っているのかは個人でさまざまであり判別は困難を極めます。

そもそも日本は性的少数者に寛容な国だった

日本は神道の強い影響を受けた長い歴史がある国です。地方の祭りでは女装した男性を担ぐなどの不思議な伝統の残る地域が多くあります。また少なくとも江戸時代には同性愛は存在し、自然に受け入れられていたことは明らかになっています。日本が性的少数者を批判的な目で見るようになったのは、明治維新以後に欧米のキリスト教の影響を強く受けた文化が流入してからです。つまり、現代日本で性的少数者に批判的な多くの保守派が守っているのはキリスト教文化で日本の伝統とは言い難いものです。反対に革新派の多くが性的少数者に寛容ですが、そこには日本の歴史という重要な点の見落としが感じられます。

決して特別扱いはしない

教室でLGBTに該当する生徒がいたらどうすればいいのでしょうか。答えは何も特別なことはしないことです。一人の生徒として普通に接してください。恋をする気持ちが自然である以上は、何の問題もありません。ただ、トランスジェンダーの場合、また同性愛を公言している場合は合宿などのお風呂や学校のトイレなどで配慮を求めてくることはあるでしょう。その場合は常識の範囲内で可能な限り対応しましょう。もちろん、その生徒も社会の一員です。そうである以上はある程度は社会に溶け込めなくては生きられません。学校という社会の中で性的少数者を言い訳にして他の生徒に迷惑をかけることは許してはいけません。