運動神経の良い人、悪い人、生まれつきだと思っていませんか?運動神経は外からの刺激を受け取る目や耳、皮膚などの器官が発達・完成する4歳頃から、バランス感覚や運動機能をつかさどる小脳ができ上がる12歳頃までに著しく成長します。12歳までを運動神経を育てる「ゴールデンエイジ」といい、この時期にどれだけいろいろな運動をしたか、で神経の回路が複雑に発達していくのです。この回路はすべてのスポーツの基礎になり、大人になっても機能が衰えることはほとんどありません。将来的にスポーツで壁にぶち当たったときに成長の伸びしろになってくれるでしょう。逆にこの時期を逃すとあとから運動神経を発達させることは難しくなります。運動に欠かせない5つの能力とその能力を伸ばす遊びを紹介します。
バランス能力
身体のバランスをとる力です。転びそうなときなどに姿勢を保つためなどに使われます。鍛えるには、バランスすもうが良いでしょう。バランスすもうとは、向かい合って直立し、相手と自分の両手を合わせて押し合う遊びです。押し合うときに、おなかとおしりに力を入れて、倒れないようにします。慣れてきたら方足立ちで行ってみましょう。左足で立ち、右手を握り合って押し合います。バランス感覚と体幹のほかに反射神経も鍛えられます。
リズム能力
自分がイメージした動きを体現したり、相手との動きのタイミングをつかむ力です。動きを真似するときなどに発揮されます。鍛えるためには、親が「頭」「足」「床」などいろいろな場所を言い、子どもは言われた場所を素早くタッチする遊びがおすすめです。
操作能力
自分が思うように体を動かしたり、ボールやラケットなどの道具を使ったりするときに欠かせない力となります。大人が立って腕を伸ばし、子どもはジャンプして大人の手にタッチする遊びをしてみましょう。タッチするときの腕の動きは、ボールを投げる動きにつながります。
認知能力
空間や時間などを把握したり、状況を考えて判断したりする力です。この力を高めるために、じゃんけんをしてみましょう。向かい合って右手でじゃんけんをし、勝ったら左手で相手の左手を握り、負けた方は左手を引きます。同じことを、手を反対にして行います。今度は、じゃんけんに勝ったら手を引き、負けたら握ります。これを左右繰り返します。手を握る代わりにハグするのもおすすめです。
反応能力
合図や動きに素早く反応する力です。飛び出してきた車をよけるときなどに役立ちます。この能力を伸ばすために、いつものキャッチボールに少し工夫をしてみましょう。投げる人が「右!」と言ったら、ボールを右手で受け取り、同時に右足を出します。次は手足を使い分けます。「右!」と言われたら、ボールを右手で受け取り、今度は左足を出します。この方法だと聴覚からの刺激を取り込み、体の左右、上下を使い分けて反応するようになります。判断して行動する力とともにボールとの距離感をつかむ定位能力を育てます。
まとめ
子どもの発達のペースは個人差があります。ネガティブな言葉を掛けると、子ども自身運動が苦手だと思い込んでしまうので、気を付けましょう。「よくできたね」「こうするともっとよくなるよ」「あなたならきっとできる」のように、ほめる・アドバイス・ほめるの順がおすすめです。親は無理して一緒に動かなくても良いので、笑顔で声を掛けて、子どもが体を動かすことが楽しいと思える時間を共有しましょう。楽しいと感じると運動が好きになり、さらに運動神経が高められます。