10年ひと昔といいますが、それくらいの差だと会社でもお互いに関りの多い年代であったりして、違いを楽しみながらそれなりに話が合ったりするものです。
しかし20年ともなると全く別物で、親子ほど年の違う相手と共通しているのは何だろうと考え込んでしまうこともしばしばです。
20年前と今、特に誰もが経験している小学生時代のことを中心に、ここが違うと思われる点を挙げてみました。
1.焼却炉がなくなった
掃除の時間にゴミを焼却炉まで持っていって、用務員さんにお願いして燃やしてもらうことが普通だったのですが、今では焼却炉自体がなく、ゴミの分別化も進んだ形で収集しているようです。平成12年の「ダイオキシン類対策特別措置法」施行以来でしょうか、家庭での焼却炉も見なくなりましたね。庭でのたき火もしなくなったため、火の扱いを知らない子どもが増えているといいます。
2.2学期制の学校が公立でもあること
学校といえば夏冬の休みを挟んだ3学期制だったものですが、今では私立校のみならず公立校にまでも2学期制があります。それに伴って秋休みも存在します。
平成14年の学校週5日制への移行で授業時間の確保が課題となり、長期休暇などを削っての実施となったようです。ただし、いったん2学期制にした学校も近年3学期制に戻す傾向があるといわれています。これはとくに中学校などで評価の回数を増やしてほしいという要望によるもののようです。
3.名簿の順が男女混合
男子の50音順の後に女子の50音順というのがよくある形だったのですが、現在では男女混合で50音順の名簿になっています。また、基本的には先生から児童・生徒を呼ぶときは「〇〇さん」と呼ぶようです。1999年、男女共同参画基本法の制定以降の流れから生まれた動きですが、男女差別を避け、様々な機会均等を図るためとされています。
4.体操服の下が男女ともにハーフパンツ
男子はパンツ、女子はブルマーだった体育の授業の風景がすっかり変わってしまい、今では男女ともに(小学校などは特に)同じデザインのハーフパンツを履かせているところが多いようです。男女ともに同じ姿であることも重視されますが、やはりブルマーに対して性的な対象としてとらえる商売があったことが大きなきっかけだったといえると思います。
5.不審者情報が保護者の携帯に注意喚起として一斉送信される
何かと世を騒がせる不審者ですが、子どもを持つ親御さんにはその被害情報は他人事には感じられないかと思います。
今は学校が親のメールアドレスを緊急連絡先として管理していて、何かあれば一斉に情報が送信されます。便利な世の中になったものです。
6.連絡網や名簿の管理が厳重
学校がメールアドレスを把握している反面、以前は気軽に配布されていた学級連絡網や名簿の管理が非常に厳重になりました。住所録などは在学者全員の住所氏名、父兄の氏名まで入ったものが以前は配られていましたが、今ではそのようなタイプの住所録はまず配布されません。また、名簿類も最低限(自分が連絡を回すのに必要な分のみ)であったりします。その管理も慎重にするよう呼びかけられています。個人情報保護がかなり重視されているのです。
7.広報などの発行物に子どもの明瞭に写った写真が載らない
厳密にいえば写真が載らないのではなくぼかしを入れたり、後ろ姿のみであったりといった工夫がなされています。また、広報に掲載されるにあたって学校側から許諾の問い合わせが来ることもあります。明瞭に写ったものの場合、管理を厳重にするよう付記されていたりもします。プライバシーの保護がここでも重視されているのです。
8.防犯ブザーが入学時に配布される
昔は大人の女性の持ち物といったイメージだったのに、今では子どもたちが当たり前に持つようになった防犯ブザーですが、そもそも入学式に教科書一式と一緒に配布(もしくは貸与)されることが多いようです。
それだけ子どもの被害が続出しているということで大人としては心穏やかならざるものがありますが、抑止力として機能してほしいものです。
9.パン給食の割合が低い
給食の話題は世代を超えて楽しめるものですが、現在は米飯給食や麺類などバリエーションが豊富で、パン給食は週に1回程度のようです。以前はご飯が出る機会は月に数度の学校が多かったようですが、平成21年の文部科学省通知「学校における米飯給食の推進について」では米飯給食を週3回にできるよう、また既に週3回を達成している学校は週4回を目指すようにとの内容が書かれています。
食料自給率の向上や伝統食の維持など、様々な観点から推進される米飯給食、旬の食材を取り入れやすいことからも現場からは歓迎されているようです。
10.小学校一年からパソコンの授業がある
情報関連の授業が小学校一年から行われているようです(学校によって差はあります)。コンピュータを使うための基本動作、ネットリテラシーなど様々な項目を遊びを交えながら教えていくようです。また、学校によってはタブレットを一人一台使用しての授業があるとのこと。今後ますます情報関連の授業は充実していくものと思われます。
終わりに
20年前からは想像もしなかった現在の小学校教育の現場ですが、一足飛びにこうなったわけではなく、一歩ずつ進んできた積み重ねの上にあります。過去との違いだけを取りざたするのではなく、子どもたちがおかれている環境をその背後関係からよく考えて、判断するようにしたほうがいいでしょう。今の世の中の子どもたちが安心して楽しく過ごせるならば、それはどんな形であれ必要なことだと思います。