小論文「です・ます」体と「だ・である」体の使い分け方7つ

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小論文を書くときに気になるのが「だ・である」体と「です・ます」体の違いかと思います。二つとも文章に用いられますが、色々な場面に応じて使い分けられています。では小論文での「だ・である」体と「です・ます」体の使い方はどうすればいいのでしょうか。

1.「だ・である」体の特徴

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「だ・である」体は「常体」ともよばれます。どんな場面に使われているかというと、硬い印象の文面(例えば公用文)や事柄、客観的な性質を強く持つ内容などを述べる際です。もちろん主観的な内容に使用しても構わないのですが、強く言い切る印象が文章に宿りますので、頑固なイメージすら読者に植え付けることでしょう。
「だ・である」の二つでも印象がことなり、前者は簡潔な言い切りを、後者は幾分格調高い言い回しとしての性質を帯びています。同じ文章でも「私は学生だ」と「私は学生である」とでは受ける印象が異なり、後者の方が幾分書き言葉として丁寧な印象を受けます。
日常会話などに最も遠いのがこの「である」かもしれません。

2.「です・ます」体の特徴

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「です・ます」体は「敬体」と呼ばれます。使われる場面は、日常会話から手紙、ある程度硬い文章まで様々です。多様な用途を持っているといえましょう。常体に比べて主観的な物事を柔らかく表すのに向いています。その反面、客観性にいささか欠ける印象を与えます。しかし丁寧な印象と、意見を述べるのに相手への配慮が感じられることから、学会発表などの場面でも口頭ではこちらを選ぶ方が多いかと思われます。丁寧なやり取りをする上において誰しも日常的になじみのあるのが敬体です。

3.小論文に向く書き方

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これは両方とも書き言葉として成立している以上、本来どちらでも構わないのですが、慣例的に、もしくは文章の持つ意味合いから常体を標準とする場合が多いようです。
その理由は、小論文が「小規模な論文」であること、つまり多くの場合客観性を求められているからです。客観的に論述し、説得力をもって読者に訴えかけるには、常体が適しています。敬体では説明口調としては間違っていませんが、いささか客観性に欠け、論旨を連ねて結論を断定するには弱いのです。
小論文には文学的な抒情や読後感は求められていません。

4.敬体を使用する場面

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では、まったく敬体は使われないのでしょうか。小論文の課題としては少ないかもしれませんが「あなたの感想・所感を交えて論述しなさい」という問題や、「登場人物に語り掛けをしてください」などという問題が出題された場合は敬体でもいいと思います。
より相手に柔らかく伝える必要があるとき、敬体はその真価を発揮するので、場面に気を付けて選択しましょう。

5.混用に注意

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ここまで常体と敬体についてみてきましたが、どちらを選択するにせよ決してやってはならないことがあります。それは文体の混用です。
常体と敬体を混ぜて使用するとそれだけで文章が汚くなります。読者に対して強調したい語り掛けがあったとしても、必ずどちらかの文体に統一して、強調表現を行ってください。混用だけで減点対象になりかねません。

6.話し言葉は厳禁

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基本的に書き言葉で綴られる小論文に話し言葉は厳禁です。敬体の使用をあまりお勧めできないのも同様の理由です。
まして学生気分で使われるくだけた表現は、小論文の場にはそぐわないものです。たとえば「でも」「だよね」は「だが」「かと思われる」などに置き換えられます。また「超ウザイ」などというのは論外です。

7.テクニックとしての常体

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小論文は書き慣れてくると字数が足りなくなることが多くなります。その場合にも常体は役に立ちます。字数を少なくし、簡潔な言い回しで読者の理解を促し、敬語・敬意表現を省くことでしっかりと読者に論旨を伝えることができるからです。採点者には余計な修飾語や表現で字数稼ぎをしているかなどお見通しです。

終わりに

常体は学生の方の日常生活からは遠い文体だと思います。その分訓練が必要です。できるだけ常体で書き慣れたうえで、必要があれば敬体に切り替えるのをお勧めします。判断が難しいようであれば常体を使用してください。
良い小論文が書け、入試の本番で実力を発揮できますように願っております。