小学生、中学生、高校生向けの読書感想文の文例を紹介します。
参考記事:読書感想文はコピペで済ませよう!そのまま使える例文を一挙10件公開
「カラフル」を読んで
中学生
私がこの本を読んだきっかけは、アニメ版の映画を見逃してしまったからです。気になっていて、テレビで放送したら絶対に見たかったのに録画を忘れてしまい、見れなかったのです。次にいつ放送するかわからないので、ついに本を買ってしまいました。『カラフル』というタイトルなのに、表紙は黄色と白色で描かれた空の絵で、一つもカラフルじゃなくてシンプルなところが印象に残りました。
このお話のあらすじを紹介します。生きている間に何らかの罪を犯してしまって、生まれ変わるサイクルから外されてしまったぼくの魂が天使の世界の抽選に当たり、再挑戦のチャンスをつかみます。そしてぼくは自殺しようとした中学三年生の小林真の体にホームステイをして、生前の自分の罪を思い出す修行をはじめます。高校受験、初恋の人との関係、家族との関係、真の生涯の記録に登場しない謎の女子の存在。最初は何も考えずに、ただ楽だと思っていたホームステイに様々な困難や葛藤が訪れます。そして、真として過ごしていくうちに、ぼくは周りの人の良いところや悪いところに気づけるようになっていきます。果たしてぼくは自分の罪を思い出し、再挑戦を成功させることができるのでしょうか。
私がこのお話を読んでいる間に特に注目したのは、比喩と色についてです。初恋の人である桑原ひろかの声を、『あまずっぱいフルーツみたいな声』としたり、プラプラの瞳の色を『瑠璃色の瞳』と表現しています。他にも様々な場面で細かく色の表現がされています。きっとひろかの声は真以外の人が聞けばフルーツみたいな声には聞こえないけど、真にとっては初恋の相手なのであまずっぱいように聞こえるのだろうと、ひろかの声をイメージしやすい表現だと思いました。
面白かった点であり見どころは、プラプラとぼくの会話です。プラプラはいつもポーカーフェイスで、ぼくの担当ガイドとして容赦なくズバズバと指摘していきます。ときには厳しいことも言います。ですが、その言葉からは優しさも伝わってきて、次第にぼくとプラプラの親密度も上がり、友達のような関係になっていきました。ぼくが自分の罪に気づいたときも最後のガイドをしたときも、プラプラがいつものポーカーフェイスを崩しているのがそのことを表現しています。ですから、お話しの最後がぼくとプラプラの少し噛み合っていない面白い会話で終わるところもお気に入りです。
そしてもう一つの見どころは、真と周りの人との人間関係の動きです。中学生くらいの頃はちょうど反抗期で、周りの友達とは距離を縮めたいけど、無条件に許してくれて近くにいる家族とは距離を置きたいけど孤独になるのは嫌だという複雑な時期だと思います。真もそんな中学生の一人でした。友達とは距離を縮めたいのに、うまく付き合うことができずに逆に距離が開いてしまいます。家族とはみんなの抱える問題が重なったことでさらに距離が開いていき、家族はバラバラになってしまいます。結果、ぼくは最初はみんな仲が良くて素敵な家族だと思っていましたが、実際はうわべだけのつながりになっていたり、真が学校を休んでいてもクラスメートが誰もお見舞いに来ないことにつながっています。
そんな中スニーカーをきっかけに話すようになった早乙女くんと放課後に遊ぶような関係になったり。以前の小林真と今の小林真の中身が違っていることに気がついた佐野唱子。面倒くさいやつ、天敵だと思っていたのに、気がつけば流れで誰にも知られたくなかったシークレットブーツの話をしてしまったり。だんだん真と周りの人との歯車が動いて、ついに家族一人ひとりとのわだかまりも解消することに成功しました。
私がこの本を読んで学んだことは、ときには自分を客観的にみて行動することの大切さです。いろいろなことが上手くいかなくて追い詰められてしまうと、周りが見えなくなることがあります。真も追い詰められて自殺してしまったけど、他人としてホームステイし、小林真ってどんな人でどんなふうに生きてきたんだろうと客観的に生きてみたことで周りの人と自分のつながりに気づくことができました。そして、カラフルなこの世界でみんなと一緒にもう一度生きてみようと決意するのです。
中高生は誰もが誰にも言えない悩みを抱えていると思います。だから私は何かに行き詰まり悩んでいるたくさんの中高生に、このお話を読んでほしいです。(1,787文字)