今、日本の教育は「覚える」ことを重視する学習から、情報を適切に処理して自ら情報を発信する力を身に着ける学習へと変わろうとしています。その中でも今回は、タブレット端末を使用した教育のICT化についてみてみましょう。
教育のICT化
文部科学省の掲げた教育改革のポイントの1つが、教育の情報通信技術(ICT)化です。すでに「電子黒板」を使って、PCやタブレット端末のスクリーンを画面に映し出して授業をしたり、タブレット端末を利用している学校もあります。早ければ2020年には、公立小中学校の全教科の教科書をタブレット1台にまとめ、すべての児童・生徒に配布し、タブレットで授業を受ける「ICT教育」が開始されることになるでしょう。
メリット1 多角的な学習がしやすくなる
文字や文章だけではなく音声や映像を活用できるので、英語や音楽など体験学習がしやすくなります。また、算数や数学で図形を立体的に学ぶこともできますね。ネットワークに接続することで常に最新のニュース知ることができるので、学習意欲も高まります。
メリット2 学習時間が増える
学校の授業でも、教師が教材準備をする時間や黒板に板書する時間などが短縮され、授業の時間を長く確保することができます。タブレットを持ち帰って宿題としてタブレット学習を使うことで、「宿題」だけではなく「予習・復習」、「分からないことや興味のあることを調べる」につながっていくことで、家庭での学習時間も増加しやすくなります。子どもが進んで楽しく学習ができるのは良いですね。
メリット3 相乗効果で学習力もアップする
家庭にタブレットを持ち帰ることで学習時間が長くなることは、メリット2で書きましたが、学習時間が長くなることで子どもの学習に対する「意欲・態度・関心」が強くなります。意欲をもって進んで学習をすることで考える力も養われますね。またさまざまな表現に触れることで、子ども自身の表現力も向上し、発表する力につながっていきます。
メリット4 親子での交流が増える
タブレットでの家庭学習によって紙での学習とは違う面白さや興味深さが出てくるので、子どもも「ねえ、見て見て!」「〇〇って実はこうなんだね」と伝えたくなり、家庭で学習に関して話す機会が増えるようです。また、親にとってもタブレットを使った学習というものは興味深いものでもあり、これまで以上に子どもの家庭学習やICT教育について関心を持ちやすくなります。親子でのコミュニケーションの時間も増え、ともに良い影響を与えることになります。
デメリット1 望ましくないアプリやサイト閲覧への対処が必要
ネット環境が整うと、望ましくないアプリの導入や危険なサイトの閲覧など、子どもが教育上望ましくない使い方をしないために配慮が必要となりますが、タブレット端末も同じです。不適切なサイトへのアクセスへは制限を加えるなど大人が気を付けていく必要があります。ほかにもコンピュータウイルスの感染も不安な点でしょう。危機管理をしっかりしていくことが大切です。
デメリット2 実際に紙に書く機会が減る
タブレットに触れる時間が長くなることで、文字を書いたり紙の問題や本に触れる機会が減る可能性も出てきます。将来的にどこまでデジタル化が進むのか分かりませんが、今現在では、鉛筆を使って実際に紙に書くことも必要です。バランスよく両立させていくことが望ましいでしょう。
デメリット3 VDT症候群の増加
VDT症候群とは、長時間コンピュータのディスプレイなどの表示機器を使った作業を続けることでおこる、目・体・心の病気のことです。ドライアイ、充血、視力低下、首・腰・肩のこり、イライラ、不安感などの症状があらわれます。適度な休憩をはさんだり、液晶モニターが発する光「ブルーライト」から保護する対策をとるなどの予防が必要です。
まとめ
2020年に向けて進み始めている教育のICT化ですが、上にまとめた以外にも、タブレットの故障やシステムの不具合など、まだまだ課題や問題を含めていろいろな意見があると思います。メリットデメリットをふまえて、子どもたちによりよい教育環境築いていきたいですね。