バレンタインデーを前に学校で先生が教えるべき5つのこと

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もうすぐ2月14日、バレンタインデーですね。学校の現場では、この行事にどうやって向き合えばよいのか・・・。でも、男性の教員だって、チョコレートがほしいって思っていたりします。まあ、ほとんどの職場は教員の教職員の間でもチョコをやり取りすることは少ないです。
女子生徒にとっては一世一代の大勝負だったりします。どうやって渡そうかと考えていたり、チョコレート菓子を手作りしたり、ばれずに渡すのも大変なのです。
一方、男子生徒は選ばれるか、選ばれないかの対象になるということで、ソワソワします。まったくもらえない子どもにとっては地獄でもあります。


ここで、本来、小学校、中学校、高校など学校の先生はどのようにバレンタインデーについて教えるべきか考えてみましょう。

1、そもそもバレンタインデーって何?

バレンタインデー、または、聖バレンタインデー(St Valentine’s Day)は、2月14日に祝われ、世界各地で男女の愛の誓いの日とされています。もともと、269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日であると、西洋では伝えられてきました。

推進している団体ではこのように説明しています。

聖バレンタイン
バレンタイン司祭は3世紀のローマの人です。
一説によると、当時の皇帝クラウディウス2世は、強兵策の一つとして兵士たちの結婚を禁止していました。これに反対したバレンタイン司祭は、皇帝の命に反し多くの兵士たちを結婚させました。このため皇帝の怒りをかい、ついに殺されたということです。この殉教の日が西暦270年の2月14日で、バレンタイン司祭は聖バレンタイとして敬われるようになり、この日をローマカトリック教会では祭日とされているそうです。

愛の日
はじめのころ、聖バレンタインデーは司祭の死を悼む宗教的行事でした。これが 14世紀頃からは若い人たちが愛の告白をしたり、また、一説には2月が春の訪れとともに小鳥もさえずりをはじめる、愛の告白にふさわしい季節であることから、この日がプロポーズの贈り物をする日になったともいわれています。

出典: 日本チョコレート・ココア協会

はっきりいって、由来については聖職者が存在したであろうこと以外は良くわかりません。それ以外の逸話はほぼ後世の脚色でしょう。
生徒に教えたいことは、細かいことはさておいて、

  • 日本の伝統行事ではなく西洋での聖職者に起源がある記念日だということ
  • 女性から男性へ贈り物をするという習慣はほぼ日本だけで性別が関係なかったり、逆の習慣がある国もあること
  • この習慣を広めているのは菓子や流通産業の側であること

ちなみに、ホワイトデーなどというものは、歴史的なものではなく、業界団体が設定したもので日本固有の習慣です。韓国でもホワイトデーは見られますが、逆に4月14日に恋人がいない人だけが味わえるブラックデーという習慣があったりします。ジャージャー麺など黒いものを食べるそうです。

また参考までに、バレンタインデーに反対している団体もあります。

そろそろクリスマスが近づき、ふと、東大駒場に昔貼ってあった「反白色テロル大連合」(名前うろ覚え)のビラが読みたくなった。クリスマスやバレンタインデーが近くなると、それらイベントを粉砕するため、全世界の労働者学生に連帯して立ち上がるよう呼びかけるビラだ。あれはおもしろかった…

出典: 霞が関官僚日記

2、バレンタインデーだからといってルールを破ってはいけない

「学校に不要物を持ってきてはいけません」「学校にお菓子を持ってきはいけません」というルールのある学校は多いでしょう。
学校への不要物持ち込みを認めてしまえば、子どもは、菓子や玩具を持ってくるようになり、ルールがなし崩し的になります。子どもは大人の真似をしますから、想像がつかないレベルの事件になることもあります。取り返しがつかない事態になる前に、毅然とした態度でことは指導して下さい。学校のルールに対する例外を見逃しはいけません。

3、容認するときは、他者への思いやりの大切さを教えましょう

学校のルールがあるとはいえ、生徒同士の個人的な感情は規制することができませんし、生徒だって制止されれば逆に燃え上がってしまうものです。
実際に、学校でばれずにバレンタインデーチョコを渡すかということに苦心している女子学生は多いのです。
なかには文房具に紛れ込ませて渡すとか、生理用品のポーチ状の入れ物で渡すとか、さまざまなテクニックが知られています。
生徒同士でも見つからないようにやるものを教員が「禁止です」と言ったからといって冗談くらいにしか聞き届けられないでしょう。
あえて、黙認、容認の態度をとって、生徒との人間的な信頼関係を深めることも大事です。

  • 絶対に見つからないようにやるように薦める方法
  • 学校のルールはあるが、あえて黙っていますという方法
  • 例外的に担任の責任で認めますという方法

このような場合でも、

  1. 例外的な対応であること
  2. チョコレートは校内で食べないこと
  3. プレゼントする相手以外に分からないようにすること
  4. チョコレートに関連することで他に迷惑をかけないこと
  5. チョコに関する話題を慎むこと

などを指導しておくべきでしょう。
チョコレートをもらえない男子、最初からチョコレートを渡すことをためらっている女子の心情にも配慮することも付け加えましょう。

4、バレンタインデーを別のイベントへ転化することも

例えばクラス全員でお菓子作りをしたり、最初からクラス全員分のプレゼント交換の日にした例もあります。
また、バレンタインデーの分の気持ちや少しのお金を社会的に困っている人々の支援にあて、このことを考えるきっかけにする例もあります。
生徒が自発的に2月14日にユネスコの識字率向上のための運動に寄付しようと呼びかけた学校もありました。
先生からは「何か他のイベントにしたらいいんじゃないかな」くらいのアドバイスにとどめて生徒会やリーダー的な存在の生徒が動き出すことに期待するのがよいでしょう。

一方で、私たちが食べているチョコレートは過酷な児童労働で生産されており、カカオの原産国の一部では一生チョコレートを食べるどことか、見たことも、聞いたこともないという子どもたちも存在しています。そういった発展途上国の子どもたちの教育の機会についても考えさせることも大切です。

5、何よりも人を愛する気持ち

さまざまな指導がありますが、やはり学校や先生が人を愛することそのものを禁止しているような印象をあたえる機会になっては良くありません。
バレンタインデーの発祥はどうであれ、何よりも人を愛する気持ちは大切であるということはいうまでもありません。
今の教職員の世代はバレンタインデーにさまざまな思い出もあるでしょう。
心温まるエピソードを話したりして、そもそも愛とは何かということを自分の言葉で語っていく、そんな大人を生徒たちは信頼します。
後手に回りがちな性教育にも通じますが、思春期やその後の生徒たちはすでに体は大人ですので、男女の恋愛にまつわるさまざまなことを教える良い機会にもなると思います。

以上です。商業主義で広まっていく、近年のさまざまなイベントに学校現場としても対応に苦労するところですが、マスコミや業界と同じように浮き足立って、ただそれに乗せられているだけでは教育者としての存在価値がありません。また、ただ禁止するだけの存在になってもいけません。2月14日を通じて、生徒どうしや教員と生徒のきずなが深まるきっかけを作っていきましょう。

参考記事:教師が教え子からチョコレートをもらったら?5つの対処法