前回、好評いただいた5文型に分ける→意味が分かる!英文最速理解の秘密を公開の続編です。
学校の授業や予備校・参考書などで長年間違って教えられている英文法というのがあります。また「半分正しい」など不完全なものをそのまま教えてしまっているものもあります。文法とは読んで字の如く「文を作る法則(ルール)」です。間違いや不完全のまま教えられていてはすでにルールとして使えません。
今回はその中でも特に重要でありながら間違えて(不完全に)教えられている英文法4つを厳選して紹介し、正しい文法を分かりやすく解説します。
1.「SVOCではO=C」は不正解⇒「SVOCでは、O→Cが主語・述語になる」が正解。
Tom calls me Jun.(トムは私をジュンと呼ぶ。)であればO=Cでしょう。確かに合っています。
しかし、Tom made me buy a book.(トムは私に本を買わせた。)ではme=buy a bookではないので、すでに教えていることは間違っていると分かるでしょう。
「O→Cは主語・述語になる」だけが正解です。
「主語・述語になる」=「O=Cである」・「OがCする(される)」ということです。つまり2つ意味があるうち1つしかなぜか教えられないのです。
2・「動詞は自動詞と他動詞に分かれている」は不正解⇒「ほとんどの動詞は両方の使い方がある」が正解。
実は動詞は自動詞・他動詞などに分かれていません。辞書を引いてみるとすぐに分かります。どの動詞にも通常は自動詞・他動詞両方の意味があるのです。
例えばみなさんが完全に「自動詞」と決めつけて覚えている「go」という基本単語ですら「~と言う」・「~を我慢する」・「~を賭ける」などの意味で他動詞になります。「sleep」でも「~を宿泊させられる(収容できる)」・「~(時間)を眠る」・「~(病気)を寝て治す」というようにいくらでも例を挙げられます。
ではなぜ「自動詞・他動詞に分かれている」という間違いを教えられるのでしょう?
これは「試験に出る自動詞・他動詞の意味を覚えなさい」ということなのです。例えば今挙げたgoとsleepの他動詞の意味は試験には出ません。だから都合上「自動詞です」と教えてしまうのです。
3.「仮定法の目印はif」は不正解⇒「仮定法の目印は助動詞過去形」が正解。
仮定法は「事実に反する仮定」と「それに対する結論」の2つで構成されています。この「事実に反する仮定」の部分でifを「使いがち」なだけで、ifが使われない仮定法はいくらでもあるので目印にはなりません。その点「助動詞過去形を見つけたら仮定法をまず疑う」という方法に間違いはありません。
まず仮定法の文には「それに対する結論」の部分に100%助動詞過去形が出てくるからです。ifは100%は出てきません。
ここで勘違いしてはいけないのが「助動詞過去形が出てきたら、仮定法に決定」という逆は言えないということです。あくまで「仮定法である可能性が一番高いから最初に疑う」ということです。
助動詞過去形が出てきても仮定法でなければ(現実と反対のことが書かれていなければ)、「時制の一致・丁寧表現・過去の意味」を疑っていくことになります。
4.「単語の省略は流れで起きる」は不正解⇒「単語の省略は、『反復または慣例によって』のどちらかでしか起きない」が正解。
英文の中で省略はよく起きます。それがなぜかを教師に質問して明確に答えが返ってきたことがあるでしょうか? 「流れで」などと適当に答えられておしまいにされたことはないですか?
実は「流れで」適当に省略が起こることは論理性の高い言語である英語では絶対に起きません。
では「反復または慣例によって起こる」とはどういうことなのか少し説明します。
She likes me as much as he. She likes me as much as him.が反復によって省略が起きている例です。heとhimしか違わないのですが意味は大違いです。省略が見当たらない人はまだ学習が不完全で2つの意味もきちんと分けて理解できないでしょう。
「as-asの2個目のasは接続詞」なのです。つまり本当はheやhimだけで終わるはずがなく完全文がasの後にくるのです。
ではなぜheやhimだけで終わっているか、それは「英語は2回目以降に同じことを反復するときは、できるだけ省略する」というルールがあるからです。
1つ目の文ではheという主語だけが残されているので「もう出てきているから省略されているもの」は動詞と目的語の「likes me」です。つまり1つ目の文が省略される前は、She likes me as much as he likes me.(彼が私を好きなのと同じくらい彼女も私を好き。=私が2人からモテている)だったのです。
2つ目の分ではhim(目的語)だけが残っているので、「She likes」という主語・動詞が省略されているのです。つまり,She likes me as much as she likes him.(彼女は私を好きなのと同じくらい彼のことも好きだ。=彼女が2人ともを好き)が元の文です。
heとhimだけで意味が全然違いますよね?省略のルールを知らないとこれが分からないのです。
「慣例によって」省略が起きる例は簡単です。例えば Thank you.は I thank you.(私はあなたに感謝しています)の省略です。これはよく使われる言い方なのでわざわざ主語を言わなくなってしまった場合(つまり慣例)に起きる省略です。