大学入試の2次試験が始まっています。医学部志望のみなさんには大変な日々が続きますね。
前回、好評だった医学部入試・小論文・面接の直前対策の重要用語 第1弾、医学部入試・小論文・面接の直前対策の重要用語 第2弾に続いて第3弾をお送りします。
医学部の入学試験では生命倫理の用語を、ほぼ必ず課される面接や小論文、作文の試験対策のために理解しておくことが求められます。一般の時事用語の関連、医療に関係するキーワードに続いてこれまでに紹介できなかったキーワードをまとめました。
2016年の医学部入試で問われることが予想される時事のキーワード。一次試験を通過して、二次試験の小論文や面接の対策では、ポイントをしぼって資料を読んでみるのがよいでしょう。小論文を書くヒントは一時期前の時事にあるものです。
エビデンス
ある治療法がある病気・怪我・症状に対して、効果があることを示す証拠や検証結果・臨床結果。
この言葉は一般では耳慣れないものの頻繁に使われる用語の一つです。「エビデンス」は日本語にすると「根拠」「証拠」という意味です。保健や医療分野で用いる場合には、よく「根拠」という言葉が使われます。それは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。例えば、新薬が開発される段階で治験者をつのり、どれくらい薬の効果があるのか?副作用はどうか?予後の経過は?さまざまなデータをとり、科学的、かつ客観的に調べられます。
「エビデンス」という言葉は使わない方がよいが,医学の進歩により,薬や治療法の選び方が以前とは変わってきていることは,患者には理解してもらった方がよい。例えば,次のような説明をして,最近の医療の考え方を分かってもらう努力をすることは,大事なことである。専門用語を使わなくても,大事な考え方を伝えることはできるはずである。
「最近では,治療法が高度になり,薬の種類も増えました。そこで,どういった場合にどのような治療法や薬が最も効果があるのか,実際にたくさんの患者さんを対象に調査研究を行っています。医師は個人的な経験や勘に頼らず,そうした幅広い調査研究に基づいて,診療をしているのです」
出典:「病院の言葉」を分かりやすくする提案
インフォームドコンセント
インフォームド・コンセントは1960 年代のアメリカで「医師から説明を受ける権利」として考えられるようになり、日本においては1990 年代になってから重視されるようになりました。インフォームド・コンセントと対照的な考え方として、医師が詳しい説明や告知はせず、患者のために良いと思う措置を取る。「安心して私に任せてください」という接し方、パターナリズムがよく取り上げられます。
説明を十分に行うだけではなく、患者からの同意に焦点がある用語です。
チーム医療
医療環境のモデルのひとつで、医療従事者が互いに対等に連携して治療やケアに当たることで患者中心の医療を実現しようという考え方です。近年、医療現場では、個々の患者の状態に合わせて、さまざまな医療従事者が連携し、治療やサポートを進めていくチーム医療の実践が広がっています。従来の医師がトップに立つ医療体制のイメージではなく、患者が中心になって各医療従事者が連携していこうとする考え方です。
社会保障
社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生など国民が傷病や老齢、死亡、その他生活上のさまざまな困難に直面した場合に、国や自治体が現金・サービスを給付して、国民の生活を保障し、社会の安定をはかるための制度のことです。社会保険には、国民健康保険などの公的医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険などがあります。公的扶助は生活保護制度などです。
少子高齢社会
15歳以下の年少人口の割合が低く、65歳以上の老年人口の割合が高い社会のことです。日本は、国民皆保険制度により高齢者も含め医療アクセスが保障され、小児医療が充実し乳児死亡率が低下したことで世界でもトップクラスの長寿国になりましたが、一方で少子高齢化が課題となっている。高齢化により医療費や年金などの社会保障に関する支出が増加する一方で、少子化は税や保険料を負担する生産年齢人口の減少により社会保障の財源不足の問題に直面しています。少子化対策のために若い世代の雇用を安定させ、子育て、教育への経済的な支援だけでなく、共働きの夫婦が子育てしやすい環境をつくるために長時間労働を減らし、育児休業を取りやすくすることが必要です。
高齢化社会 | 高齢化率が7~14%の社会。 総人口に占める65歳以上の老年(高齢者)人口が増大した社会のこと。 |
高齢社会 | 高齢化率が14~21%の社会。 |
超高齢社会 | 高齢化率が21%を超える社会。 |
少子社会 | 合計特殊出生率が人口置き換え水準をはるかに下まわり、かつ、子供の数が高齢者人口(65歳以上人口)よりも少なくなった社会。 |
女性の活躍促進(法)
女性が職業生活において能力を発揮し活躍できる環境を整備するため、大企業に行動計画の策定などを義務づける法律が2015 年に制定されました。女性の就業率において30 歳代前半をボトムとするM字カーブは、日本の労働慣行や根強い固定観念を表していると指摘されています。 女性の活躍促進について議論するときは、仕事と子育てに二極化させるのではなく、性別にかかわらず誰もが様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供され、子育てや親の介護など多様な状況に応じて働き方が「選択」できる点を強調しましょう。
以上、いかがでしょうか。直前期の医学部入試の対策はポイントをしぼって効率的に進めましょう。