教育の政治的中立を確保するための5つの視点

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学校教育は学習指導要領に基づいて、政治的中立な姿勢が求められます。公職選挙法の改正によりこの夏からは選挙権年齢が18歳に引き下げられます。大学生はもちろんのこと、一部の高校生にも選挙権が付与されることになります。SEALDsを代表に積極的に政治参加をする若者が注目される一方で、低い投票率などが問題になっています。教員も一国民でありますから「市民」として意見を持つのは自然なことです。しかし、教壇にの上では教育者として政治的に中立でなくてはいけません。特定の政党の主張や意見に偏らず、教育の政治的中立を確保しながら、生徒に政治について考えてもらうために持つべき視点を紹介します。

自分の考え方を客観的に見る

教員も市民の一人でありますから自分の考え方を持っていることはおかしなことではありません。ですが、その自分の考え方を客観的に見れる必要があります。例えば、TPPの問題であれば、「自身はTPP推進派である、では世論はどうだろうか」と各紙の世論調査の結果を見てみるなど、自分の考え方を客観的にみて多くの人の認識と自分の認識の差を把握しておきましょう。

自分の支持政党の政治的な立場を把握する

民主党と維新の党が合流して民進党が誕生するなど常に変化し続けるのが政治情勢です。その中で自分の支持する政党の政治的なスタンスを把握しておきましょう。例えば、自由民主党であれば保守的な立場にいます。日本共産党や社会民主党は革新政党です。これを把握したうえで、各政党の主張を比較できるようにしましょう。

自分とは異なる主張を知る

政治に興味がある人の多くは自分の考えとは違う主張を知ろうとしません。どうしても、同意できる情報のみを収集しがちになってしまいます。教育者であればこれではいけません。例えば、昨年大きな話題になった安保法制であれば、賛成派は反対派の主張を反対派は賛成派の主張を知る必要があります。そうすることで、見えなかった問題点や改善点も見えてきますし、そもそも自分の意見とは異なる意見を知らずに自分の主張ばかりをするのは恥ずかしいことです。

共感するのではなく尊重する意識

自分とは異なる主張には必ずしも共感する必要はありません。自分とは違うからといってその主張を否定する必要もありません。どちらが正しいのかの視点で政治を語るのは間違っています。あなたはこのように思っている、私はこのように思っている、それを知ったうえでお互いの主張を尊重し合いましょう。その精神の下で考え方の違いを議論していくことで考えが深まっていきます。教育の場で求められるのはこのことです。

自分の主義主張を生徒に押し付けない

当然のことであるはずが、残念ながら自分の考えを押し付けてしまう教員は多いです。教育者の立場で自分の主張をするときは、「あくまでも私の意見である」という前置きを付けましょう。それをどう思うのかは生徒の自由です。多角的な視点から物事を見られることは間違いなく生徒の成長につながります。広く物事を見たうえで、自分の意見を持てる教育を目指しましょう。