小論文の採点を人工知能やロボットで?採点者の経験ではAIとそんなに変わらないよ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

4b494f57715647bdc33e3b8761cd4695_m

2020年からの大学入試改革では記述式試験で人工知能(AI)を活用することが注目されています。
中央教育審議会の答申により、進められている高大接続改革では、2014年12月、知識偏重教育から思考力重視への転換を目指し、大学入試と高校教育、大学教育の一体的な改革を目指しています。グローバル化や情報化、少子高齢化など社会の変化が激しい中で、主体的に考え、行動できる人材を育てるため、一貫した理念のもとで教育することが求められています。2020年からは大学入試センター試験の後継テストとして「大学入学希望者学力評価テスト」と、高校生の基礎学力を測る「高等学校基礎学力テスト」の2つの新テスト導入が予定されています。

これに基づいて、文部科学省の有識者会議の「高大接続システム改革会議」では具体策の検討が進められています。

記述式の採点を人工知能やロボットについて行うことの是非も話題になっています。小論文を採点する大学教員の立場から、少し考えたことをまとめました。

高大接続システム改革会議では最終報告案が出された

3月25日に行われた「高大接続システム改革会議」では、最終報告案が示されています。2020年度から2023年度はマークシート式に加えて短文記述式の問題を導入し、2024年度からはコンピューターを使った出題・解答に切り替え、長文記述式問題も導入するという案が盛り込まれています。複数回の試験実施は見送られましたが、今後も検討するということになっています。
記述式問題では採点方法に人工知能を導入することが注目されていましたが、以下のような表現で実際に「コンピューターの活用」として本文に盛り込まれ、人工知能についても注釈の中に記載されています。

(3)「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入
3 記述式問題の導入 (採点方法・体制)
採点業務を効率的・安定的に実施するための補助として、答案のクラスタリング(類似した解答ごとにグループ化)などの業務にコンピュータ(注)を効果的に活用することも含め、新たな技術の開発と活用を積極的に進める。

(注)コンピュータの活用については、例えば、人工知能(AI)技術などが考えられる。人工知能(AI)技術とは、学習、問題解決、判断・決定、自然言語理解など高度の機能を持ったコンピュータシステムのことを指し、多数の解答データの蓄積・学習が必要となる。

出典:高大接続システム改革会議「最終報告」(案) 

「大学入学希望者学力評価テスト」は科目数が簡素化されることも予定されていますが、記述式の導入は国語、数学のみのようです。

採点者の立場からは人工知能の導入は当然

小論文などの記述式の採点に人工知能の活用が向くのかと言えば、採点者の経験からすると当然、必要でしょう。
それは、以下のような理由からです。

  • 複数名で採点をする場合に採点基準を明確にしなければならない
  • 明確な採点基準となると文章表現よりも使われている語句や語彙数などで判断せざるを得ない
  • 主観的な判断を加える場合も、最初に語句、語彙数、全体の記述量で区分するのが効率的

今までも大量の答案を採点するのはほとんど人工知能・・・というより、マシーンになった気分でした。よく小論文の解法として、文章の表現や論理構成に重点を置いているものが出回っていますが、後で1対1の面接でも使用するような小論文ならともかく、百人単位の受験生のいる小論文では、そこまでを見る余裕はありません。とにかく基準に沿って、どんな語句が使われているかを目を皿にして作業しているのです。

実際の入学試験の採点でも、点数化するのではなく、答案を3段階などに大まかに区分してから行うことがありますが、こういった作業がコンピューターでできればよいものです。

ただし、難しいのは下位層の評価だろう

8a891c4d4417460edafe08b5cc25b94e_s「大学入学希望者学力評価テスト」は1点刻みの点数ではなく段階で評価されることが、予定されています。現在でも、小論文のみの入学試験の場合は、合格か不合格かだけの2段階で評価するため、ボーダーラインの生徒の答案は慎重に採点するようになりますし、そもそも試験問題の要求するレベルが合格ラインの生徒の優劣を付けやすいものになっていることが多いです。

しかし、すべての生徒にいずれかの段階の評価を付けなければならないとすると、下位層の評価が少し難しいのではないかと思います。上位層は誰が見ても優れた答案であったり、減点法でも採点しやすい内容になっています。しかし、下位層は記述量が少なかったり、語彙が少なかったりすると、明確な基準で採点をしようとすればそれこそバクチのような結果になります。

また、コンピュータによる文字の認識、OCRでの読み取りなどかなり技術は進歩していますが、悪筆の学生は少し注意した方がよいかもしれません。コンピューターによる解答に切り替えられるので、一過性の問題になるとは思います。

参考記事:2020年大学入試改革!アクティブ・ラーニングを理解するための10冊

医学部 受験特集

小論文・面接対策

医学部へ行くには?

大学入試センター試験

英語学習アプリ

大学入試改革

広告